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====[2009年2月5日]==
「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
名古屋ビジネス情報
主宰 川津商事株式会社
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  テーマ:「百年に一度の金融危機」とはどういう意味?

「百年に一度」の金融恐慌という言葉が市場に氾濫しています。ど んな意味があるのでしょうか?本当に百年に一度の規模なのでしょ うか?

今回の世界的な金融危機を1900年代初頭アメリカで生じた大恐慌 との比較がなされることがあります。その規模に匹敵する。或いは まだその域には無いという議論である。

仮に同じ規模だとして、今回の経済危機が20世紀の大恐慌に次ぐ 21世紀の大恐慌とすると、2100年或いは2050年までもうこのよう な規模の経済危機は来ないということでしょうか?まるで50年先 が見通しできるような表現ですがまったく説得力が感じられません。

理論的に学者が物事の何かを断定するときに統計学的手法を使いま す。例えば統計学的にその起こりうる確率が99%以上であるなら起 きうる信頼性が高いという考え方です。よく1%の有意水準で正し いという表現を使います。

あるいは少し緩く5%の水準で有意があるとも言います。何らかの 仮説が5%の確率以内でしか生じないことが証明できる場合、その 仮説は5%の有意水準で棄却されます。統計学的に1%あるいは5% の水準で物事を断定することに有意(意義が有る)とする理論的な 考え方である。

さて1980年ごろから市場にリスクという概念が顕在化し始め、その 後このリスクが急増する中でリスクをマネジメントしたいというニ ーズがやはり顕在化してきました。そのビジネスモデルがリスクマ ネジメントです。

金融の世界にもリスクマネジメントが登場してきました。銀行は貸 し出しを行いますがその貸し出し先が破綻して債権資産が紙切れに なってしまうリスクがあります。このリスクをマネジメントするた めのモデルがやはりありました。

つまり金融機関が保有している資産が、99%の確率で破綻しうる時 の損失を計算して、その損失額を資本金等で準備することがまず考 えられました。99%の損失に対して準備をする。残りの1%でしか おき得ないリスクに対しては、無視してもかまわないでしょうとい う考え方である。

上記で説明したように、統計学上では99%の確率で生じる事象は 「概ね」生じるという表現をしても良いとされる。逆に99%の確率 で生じない事柄は「概ね」生じないと表現しても良いとされる。

損害保険、生命保険或いは最近のCDS(クレジットデフォルトスワ ップ)もこのような考え方で、リスクが起きうる確率で計算した損 失額の総計に対して準備しなくてはならない金額に見合うコストが 保険料率になります。

金融の業界でこのようなリスクマネジメントを実施したにもかかわ らず、100分の一でしか生じないリスクが何らかの理由で生じ、連 鎖していったことが今回の金融危機を雪達磨式に大きくしていった と考えられる。

この統計学上絶対的な信頼をもっていた99%の有意水準の考え方 が、今回のリスクの暴走である金融危機を誘発しているわけだ。表 題の「百年に一度」の意味は、99%の確率で生じうるリスクについ てはマネジメントができていた。つまり理論的なしうることは出来 ていたことを主張したい金融機関自身の言い訳を表現したものでし かないように聞こえる。

筆者が某電器メーカーで社稷を食んでいた時、議論したある事例を 紹介しよう。ある電気製品が人に危害をもたらす確率は0.00・・1% でしかない想定される。しかしもしそれが生じた時、その被害をこ うむったお客様は自分の信頼のうち0.00・・1%を毀損したのでは なく100%信頼をなくすことになる。

つまり生じる確率は確かに1%以下でしかないかもしれないが、も し生じたときはその人が死んだりしたことにより社会的責任を負う 必要があり、その商品の社会的存在意義だけでなく、最大その企業 の存在意義すらなくすことになる。

人に危害を加えるリスクが0.00・・1%であっても、それが生じる と企業が成り立たなくなる状況になるのであれば、その商品はその 企業にとって0.00・・1%しかない低リスクではなく、非常にリス クの高い商品になるわけだ。

この場合問題になるのは、リスクが生じた場合の他への影響である。 リスクマネジメントでは通常デフォルト相関リスクと呼ばれるもの である。Aという企業の社債が破綻したとき関連してBという企業 の社債が破綻するリスクが高いとき、BのリスクはB単独のリスク にAのリスクも上乗せする必要がある。そしてA以外にE、D、F とどれが相関するかを把握しなくてはならない。

このようなリスク相関の問題は概念としては研究されているが、実 務上データーがまったく蓄積されていないのが現実である。今回の 金融危機でようやくこのデフォルト相関の概念に日が当てられたわ けだ。

人が死ぬ確率と、夫が死ぬことによって妻が後追いして自殺する確 率は違う。これが相関リスクである(仔細は拙著「リスクを移転し 始めた不動産投資市場」2008第5章参照)。

百年に一度しか生じない確率で起きる金融危機であっても、もしそ れが起きれば10年は不景気に陥るような影響がでれば、このような リスクに起因する影響は100分の1ではなく、100分の10の確率に なる。

今回の金融危機の引き金となったサブプライム市場のバブル破綻は、 せいぜい10兆円規模の市場の破綻でしかなかった。つまりこの程度 ならソフトランディング出来ると考えられてきた。しかし破綻して みるとグローバルな資本市場の資産価値を大きく毀損し始めた。

これからの不動産投資においても、想定されるリスクが生じる確率 だけを考えるのではなく、それが生じた時どのような影響が起きる か?これがリスクマネジメントになることを理解しなくてはならな い。

従来のリスクの計量の仕方は過去の収益率等データから、そのブレ 幅を測定してそれを正規分布に当てはめて把握した。自分の抱えて いるリスクが何に連鎖して何に影響をどれ程与えるかを見定めなく てはならない。従来のリスクマネジメントでは不十分である。

以上

 


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