
====[2008年9月20日号]===============
「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
名古屋ビジネス情報
主宰 川津商事株式会社
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名古屋・不動産に関するビジネス情報誌「名古屋ビジネス情報」 へのご登録ありがとうございます。当社は不動産にとどまらず 広くビジネス情報をお届けいたします。今回は、
テーマ: 集中豪雨、証券技術、ミートホープ、汚染米に共通する事
遅ればせながら、先月末名古屋市都心部および周辺に浸水等の被害 をもたらした集中豪雨に関しまして、被災した皆様方にお見舞いを 申し上げます。
家屋浸水等の被害にあわれた方々のお話をお聞きすると、その当時 いろんな公的なところ(マスコミも含めて)に助けを求めたが、誰 も動いてくれなったとの事である。今後、経験に基づいて、危機管 理の体制を早急に必要とされるべきだと言う話であった。
災害、地震が起きる可能性がある地域は、その分危険リスクが高い という評価がなされる。災害予防対策がなされて初めて資産価値の 保全が可能となる。
保険等でリスクを移転するのではなく、本源的なリスクを低減する 意味で、ゲリラ豪雨の雨水の下水道整備が、公共事業として最も優 先されるべきではないでしょうか?
リスクの単なる「移転」と、リスクの本源的「低減」の違いを認識 する必要がある。
素人が考えるに、地球温暖化現象で南極あるいは北極の氷が溶けて、 その溶けた水分が大気中に許容範囲を超えて蓄積されて、何かの拍 子に局地にゲリラ豪雨となって地上に還流してくるような気がしま す。
同じような事が金融資本市場にも起きている。1980年当時の世界中 のマネーは、世界のGDP合計額に相当するものであったのですが、 現在では世界のGDP合計の約3倍のマネーがグローバルな金融資本 市場で還流している(2008年通商白書データ)。
過剰なマネーが、儲かるぞと思われる市場にゲリラ的に急襲するこ とになる。かつてはそれがアジア通貨危機、ラテンアメリカ通貨危 機を起こし、少し前のアメリカの住宅バブルをおこし、そして今石 油市場に大量に流入して高騰させている。今順番に破綻してきてい る。
この過剰マネーの供給元のひとつが、日本の低金利による外資の借 り入れになっているわけだ。
アメリカではいよいよリーマンブラザー証券が破綻した。世界の証 券金融の歴史を作ってきたユダヤ系の老舗大手であり、又大手の外 資証券会社の中でも本格的に日本でディールを積極的に行ってきた 会社である。
ビジネスである以上失敗はつき物である。どんな会社でも倒産する リスクがある。普通の企業の「倒産」と、市場の「恐慌」「危機」「ク ライシス」との違いがどこにあるとお考えでしょうか?
単なる倒産と市場の恐慌との違いは「連鎖」しているかどうかであ る。A社がいけば関連してB社も、C社も破綻するのが連鎖である。 それぞれ関係なく独立して破綻するのが通常の倒産である。
かつて、「LTCM」と言うヘッジファンドが、ロシアの通貨危機で 倒れた時、LTCMがリスクポジションを取っていた同じ投資資産 にリスクポジションをとっていた他のヘッジファンドへの資金がす べて止まって連鎖倒産をすることが危惧された。
今、同じようにリーマンが取っていたリスクと同じリスクポジショ ンを取っている金融機関が、これから連鎖倒産する事が危惧される 事になる。
問題となっているサブプライムローンのCDOとは、まったく縁も ゆかりもない日本の不動産会社も、資金がストップして倒産の嵐が 起きている。同じ不動産市場というだけで自動的に資金供給がスト ップしてしまった。これも明らかに連鎖である。まさに今日本の現 場でも「恐慌」が進んでいる事になる。しかし今の日本は「恐慌」 より「選挙」である。
現在の証券金融の技術の根幹はリスクの「分散」にある。1960年代 にハリーマコーヴィッツがリスクのマネジメントを理論化し、その 後ノーベル経済学賞を受賞したファイナンスの根幹をなすリスクマ ネジメントの概念である。
サブプライムローンで「証券化」の功罪に関心が高まりつつあるが、 金融業界ではこの分散の具体的な手法である証券化に対しては、依 然として正当化する考え方が多い。もちろん筆者もその1人である ことには変わりない。やり方さえ間違わなければ。
サブプライムと言うリスクの高い商品には投資はできないが、分散 して原資産よりリスクが低く格付けの高い部位と、更にリスクの高 い部位に分けて、他の金融商品に混ぜてリスクを分散する。
その結果、サブプライム市場も拡大できるし、証券市場は分散証券 化によるビジネスチャンスが増え、金融資本市場でも投資家にとっ てもいろんなオプションが増え、画期的な事であった。
食品安全疑獄の始まりのミートホープも、良品の肉に劣悪な部位を 混ぜて分散させて商品を作り上げた。当事者は市場ニーズに呼応し た技術革新だと豪語していた。今回の汚染米も汚染した米を分散し た結果、毒性は薄れていて、大した問題ではないと言うのが農林水 産省の考え方であったようだ。
しかし、日本の食品市場では、例え少量でも毒性があるものを明確 に拒絶した。更に毒性が一部でもあるかもしれないと言う不確実な 商品に対してすべて「ノー」を示している。分散してもだめなもの はだめと言うのが消費者市場の考え方である。
金融資本市場におけるリスクの考え方と、食品に対する考え方にギ ャップがあっても良いのか?
今後このようなギャップが世界の金融資本市場でなくなるのか?
逆に潔癖症をアッピールしすぎる日本だけが浮いてしまって、今後 更にガラパゴス症候群になるのか?
方向性が見えない。
しかし言える事は、1960年代に確立された分散と言うリスクマネジ メント以来、なんら新しい技術革新、概念、ビジネスモデルが金融 資本市場に生まれていない事が問題なのだろう。
リスクの分散によるマネジメントが、市場に貢献するには、いくつ かの前提が必要になる。「情報公開」、「リスクの性善説」、「善良なる 管理全注意義務」、「アンチモラルハザード」等等である。
現在の金融工学の悪いところは、これらの企業努力をコストに変換 して、コストだけ支払ってリスクを移転する事で責任をとらないセ クターを作ってしまっているところにある。しかもこれらのセクタ ーが結果的に巨額の利益を得ているのだ。
TVのワイドショーを見て居ると、汚染米においても、どうも中間 で巨額の利益を得て、リスクを移転して責任を取らないセクターが 多く居るようだ。例え分散の概念が正しくとも、これを扱う市場の プレーヤに善管注意義務が無ければ、分散の良い面が社会に貢献で きない。
また、金融の世界では、例えどんなにこの先リスクがはぜようが、 「分散」と言う概念に疑問を呈する事はタブーとなっているところ がある。分散を否定する事は、その人の金融に対するリテラシー(教 育)が否定されてしまうところがある。
「分散」「証券化」を正当化することによって、その人の学識が評価 されると言う盲目的なブームがある。
移転されたリスクはすべて金融資本市場に蓄積される(拙著「リス クを移転し始めた不動産投資市場」2008)。分散はリスクを消し去る マジックではない。現場で実際にリスクポジションを取っている人 ならわかっているはずである。 分散がそもそも万能的な効果をなす時代はすでに終わっている。仮 に分散によるリスク移転が可能であっても、連鎖で市場リスクが暴 発すれば意味がない。
冒頭の、大気中に蓄積された水分が許容範囲を超えていればゲリラ 豪雨になるのは必然の自然現象であり、過剰にマネーが流動する資 本市場で投機と破綻が生じるのは当たり前である。リスクが市場で 過剰に蓄積されている状態でリスクの分散は効かない。
以上
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