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====[1998-12-28]===============
  「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
        名古屋ビジネス情報
     主宰 川津商事株式会社
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名古屋・不動産に関するビジネス情報誌「名古屋ビジネス情報」 へのご登録ありがとうございます。当社は不動産にとどまらず 広くビジネス情報をお届けいたします。今回は、

  テーマ:大きなトレンド

  21世紀に向け、いろんなカテゴリーでパラダイムチェンジが展開 している。土地政策に於いては何が大きなトレンドとなるのであろ う。


  「新・全国総合開発計画」
日本の国土の開発の指針となるグランドデザイン。
今までの第4次全国総合開発計画を受けて、本来なら「第5次全国総合開発計画」なるところが「新全国総合開発計画」となりました。 明らかに今までの延長ではなく新しい考え方を目指しています。
その中で一番大きな考え方の違いは、国から国土開発の指針となる計画を提示するのではく、地方自治体にあった自立を目指している。 つまり地方に権限財源を移す地方自治に方向している。
又従来であれば名古屋などが中京圏として第3極を位置づけられていたが、国土を東京と大阪を中心としたの2極に分けている。
言わば名古屋は巨大地方都市としての位置づけになるようだ。高齢化社会、人口の小子化等を背景に21世紀を作り上げるグランドデ ザインとしては、あっちもこっちも横並びではなく、本当に必要なところ、そうでないところをシンプルに絞り現実的な効果を目指し ているようだ。

今、街づくり3法が今後の街づくり行政の方向性を位置づける政策として注目を浴びている。街づくり3法とは、98年度に決定ある いは審議されている「中心市街地活性化法」「大規模小売り店舗立地法」「改正都市計画法」を言います。
自治体に様々な権限を与え自助努力を求めているのが特徴。


「中心市街地活性化法」
何処の市街地でも社会問題になっている衰退しつつある又は衰退してしまった既存の市街地の再生をさせるのがねらい。
TMOと呼ばれる市、市民による街づくり委員会により企画立案、管理させる。今までの街づくり行政は、郊外型の新市街地の開発に 取り組む傾向が強かった。
民間レベルの投資にしても、中心地市街地の再開発に要するコストを考えれば新しく新市街地を開発した方が安易と考えるのは当然の 行動であったが、高齢化社会を目前にして衰退をした市街地の自助的再生がほとんど不可能となり、都市中心地のスプロール化が進み 経済的に見ても非常に大きな外部不経済の要因となっている。


「大規模小売り店舗立地法」2000年施行予定
今後は、既存の大店舗法のように大型店舗の出店に当たり調整、規制をしない。
改めて生活環境に影響がある場合は政令指定都市が計画変更を求めれるようになった。
現実に海外からの専門分野に絞ったメガストアーの日本上陸が間近に迫っているようだ。
一方で今までのような安易に郊外ニュータウン、あるいは工場跡地へ出店していた大手スーパーが採算の悪い各地で一斉に撤退を始め ている。
市場原理に則り競争採算を考えれば当然の結果であろう。
物の効率性を社会的、経済的に21世紀にあった考え方に変えるのに、人の判断に任せて需給競争原理を調整するのではなく、社会性 を求めて完全に市場原理によって物の価値判断を求める時代の典型的な例なのか。


「改正都市計画法」
都市計画審議会なとを経ず、用途地域の決定を市町村にゆだねる。

この「街づくり3法」の方向性は何処にあるのだろうか。
高齢化、人口減少化の社会にあって、中心市街地の再開発の遅れが大きな問題となっている。
何時までも新市街地を拡大開発することは人口が減少する社会では意味がない。
更にこれからは国が地域のグランドデザインにまで指針を提示するのではなく、地域自治体の個性ある自助努力に任せよう。
一方で今までのように規制によって地域経済を縛るのではなく、市場原理にゆだねて地域経済の活性化を図ろう。
但し環境に関することは今まで以上に行政が監視をする。と言ったところでしょうか。

仮に50年後日本の人口が半分,2/3になるとしたら、名古屋市の人口そしてその周辺の中小都市が均等に半分、2/3になるので しょうか。
多分そうではなく人口減の中にあっても集中する地域、過疎化が進む地域に分かれるのでしょう。
そう言った時代に今までのように均等横並び式に公共投資をして社会を開発することは出来なくなります。
市場原理を見ればすでに大手スーパーは採算の合わないところから撤退をしてるわけです。
そこで選別をして中心市街地地を重点的に見直す、そして再開発、新規開発も含めて地域自治体の考えに任せる。

先の自民党の都市問題対策協議会が出した提言書に、都市計画道路の整備や、鉄道新交通システムの整備等の公共事業を東京、名古屋、 大阪の3大都市圏に集中することが盛り込まれている。
国内総生産の4割以上を占める大都市部の再生を図ることが日本経済の緊急の課題である言うわけだ。具体的な整備分野として木造密 集市街地地域の解消、通勤緩和の交通システム、安全対策等である。

又先の緊急経済対策の中でも、経済企画庁が、同じ社会ストックが生産力を高める効果は、東京、大阪、名古屋の三都市圏が北海道、 東北、九州より2倍以上高い試算を表明している。つまり経済の波及効果が違うのである。
又、現政権においても公共事業の中でも住宅整備、都市対策が重点的に考えられている。「生活空間倍増計画」がその現れである。
今回の第3次補正予算に於いても例のごとく予算の縦割りの大枠こそ変わらないにしても住宅市街地関連が、下水衛生、農業整備に比 べて伸びている。
最近自民党が東京、大阪、名古屋などの都心部で選挙が勝てなくなっている事も自民党が都市部に力を入れる後押しになっているよう だ。

もっと最近の例(新聞報道)を見ると、「テクノポリス法 15年で廃止」である。
政府が予算を付け政府主導で全国地方に先端産業の立地を誘導する法律だ。
全国で政府からの補充金をもらい地方自治体が工業団地を造成して地方の産業振興政策の一時代を担った法律である。
現実には自治体の大きな負担となっているところもあるようだ。この法律が今度「新事業創出促進法」になり3大都市圏の視野に入れ た政策へと代わっている。
地方の新産業都市ははしごを外された形になってしまう。

さてこのようにして最近もてはやされている「都市型公共事業」にもいろんな批判がでている。都市型新交通システムなどが良く批判 に挙げられている。

東京臨海都心のゆりかもめ 使い勝手の悪さが経営をぐらつかせている。
大阪「ニュートラム」 運賃割高
愛知逃花台ニュータウン「ピーチライナー」 赤字経営

等々鳴り物入りで導入された都市型公共投資が必ずしも成功しているとは限らない。
都市型公共投資と言えども、使い勝手の悪い物、採算の合わない物は地方の不効率な物と同じく作った後の維持に自治体財政を圧迫さ せることは間違いがない。
ただ投資額に対する経済的波及効果はやはり都市部の方が期待できるのであろう。

もちろん地方と都市、周辺と中心との綱引きいろんな問題はあろうが、将来、価値の方向性が大都市中心部に向く大きなトレンドがあ ると言えよう。


「定期借家権」の新設
現在の借家法では一度借家を貸したら、正当な事由があるか、多大な立ち退き金を払わないともう戻ってこないのが現実である。
立ち退き金の現実を見るとすさまじい物がある。
「借家人からいただいた家賃の累計の200倍」とか「現在の家賃の1500年分」が立ち退き代にふさわしいと言う判例(是は非常 に極端な例です、決して一般とは考えないで下さい)があると聞きます。全国平均でも累計の15倍ほどと聞きます。

借家契約とはいったいなにか。通常の賃貸アパ−トマンションから、長屋の賃貸契約まですべてを言います。
賃貸借を事業としてみることが出来るのは、都市部のワンルームマンション、一部都心部の2DK60平米辺りまでの賃貸マンション のみと言うことになります。

これらの賃貸マンションが事業として成り立つ理由は学校、新婚等目的が達すれば、賃貸期間正当な事由に関係なく、賃貸人が自ら退 去するからです。立ち退き代、期間の無期限更新が実質無いからです。

以前日本の住居を称して「ウサギ小屋」と言われたことがあります。現在は日本の持ち家の平均面積が122平米、イギリス、フランス の平均が約90平米だそうです。すでに持ち家に関しては大きく改善されているわけです。
しかし貸家を見て見ると日本の平均が45平米、イギリス、フランスのそれが70ないし80平米との事です。依然開きがあるわけで すが、ファミリータイプのアパートマンションが日本では借家法によって借家人が保護されているために事業性が無く供給されないが 為の現象です。

老後対策に賃貸マンションを目指す人、それをさせようとする建築業界がこぞってワンルームを建築するため、街にワンルームマンシ ョンが氾濫して、ワンルームマンションの賃貸料が値崩れして事業性が無くなりつつあるのもこの住宅システムの弊害といえましょう。 日本ではワンルームマンションから60平米程までの2DK、3DKは賃貸住宅。
これに対して60平米3LDK以上になるとほとんどが分譲マンション,建て売り住宅を選択せざるを得ないのです。

この分譲マンションは非常に多くの社会問題を抱えています。まず現在のデフレ不況の中での売れ残り、在庫の不良債権化、更に分譲 マンションを取り巻く法の未整備からくる中古マンション市場の未発達、更には中古マンションの滞留在庫(現在の借家法のもとでは 住まなくなった中古分譲マンションはほとんど賃貸として貸されません。貸したら戻ってこないし家賃が抑えられるからです。)。

中古マンションの市場性が悪く、子供が産まれたり、高齢化したりしてライフスタイルがいろいろ変化して住まなくなった、もしくは 住み難くなっても、賃貸等で有効利用もできない、買い換えることも難しいマンションを一生かけてローンで購入しなくてはならない のが今の日本の住宅システムです。
現実にこの住宅のローンが今回のようなデフレ不況を乗り切れず安く手放してしまう方が多くいるわけです。

又1970年代頃から現れたこの分譲マンションが2000年以降多くが立て替えを要する時期になってきます。
現在の法では、分譲マンションの立て替えは所有者3/4以上の決議で立て替えれるわけですが、これはあくまで住民の自主的決議で あり、100戸以上の巨大マンションをとりまとめるのは至難の業となります。
立て替えは非常に難しいと予測する学者等もいます。このような問題が多い資産は市場性から見た場合資産としての価値を見いだしに くいのは当然といえます。

こういった問題を解消するために今「定期借家権」の法整備が進んでいます。
海外ではほとんどがこの定期借家権です。つまり契約は基本的に1年、賃貸期間終了後契約をやめたければ何の理由も無しにやめられ る。
もちろん立ち退き金は法律違反です。この新借家権の方が整備されると一気に70ないし80平米もしくはそれ以上の極めて良好な賃 貸マンションが供給されることになります。

新借家権の創設についてはいろんな議論があるようですがここでは割愛して、ではこの制度が出来ると社会はどの様になるのでしょう か考えてみましょう。

現在の分譲マンション、建て売り住宅は、価格を押さえるため土地の安い郊外に集中してます。当然生活の拠点が中心地から周辺郊外 へ、更にニュータウンへと広がっています。
愛知県の人口動態を見ても、核となる名古屋市は216万人前後で横這い推移なのに対して、愛知県はいよいよ700万人を超えよう としています。

これに対して土地の有効利用として都心の中心地に良好なファミリータイプの賃貸マンションが供給されれば、何も遠く郊外から通う 必要が無くなるわけです。
つまり良好社会資本の整ったな居職が接近した環境が生まれるわけです。もちろんそれには良好な住環境を作り出す法整備は必要です。 この新借家権が作り出す影響は非常に大きな影響となります。少ない資金で良好な住環境を入手でき、余力でセカンドハウス(別荘等 )を買うことも出来ましょう(別荘と言う考え方は日本の過去の税制の中では絶対認められない考えでしたが、今後の経済対策では居 住性のない2棟目の家つまり別荘も税制優遇として盛り込まれるようです。)。安くより社会インフラの整った住環境が手に入り、ゆ とりが生じれば人口の小子化にも歯止めとなるかもしれません。

アメリカを引き合いに出すと拒絶反応を示す方がおられますが、ニューヨークの摩天楼に職をもち、同じく近くの高級マンションに居 を構え、週末、休暇になれば郊外の別荘に移る生活を想像することが出来ます。ライフスタイルの変化が現れるわけです。

新しいビジネスチャンスも生まれましょう。経済的にも都心の未利用地の有効利用、中古マンションの市場活性化等非常に大きな変化 が見られるでしょう。

シティーのような金融専門オフィス街、職住接近の良好な地域、高級住宅街、郊外のゆとりのある住宅街等、都市計画の考え方が大き くかわります。土地の値段に対する考え方、もちろん「地域の相場」も変わるのではないのでしょうか。

この「大きなトレンド」を書いている最中に「長谷工コーポレーション マンション分譲 撤退」と言うニュースが飛び込んできた。 企業の再建のためにマンション分譲事業から撤退するわけだ。
日本の住宅政策史の中では、長谷工などに見られるように社会的に認められたブランド企業であっても、マンション分譲事業が定期的 に生じる大きな景気循環を乗り切れず撤退してまう。
長谷工がマンション分譲事業を手がけて何年目のことだろうか。日本では、建てた会社が途中で投げ出してしまわなくてはならないよ うな事業から生まれたこのマンションを35年ものローンで買わなくてはならないわけだ。
長谷工だけでなく多くのデベロッパーが大なり小なりこのような現実に直面している。

これからの「住宅」。どういった住宅スタイルでそして何処に永住の地を求めるのか。新しいトレンドが生まれつつあるようだ。

読者の方には、非常に飛躍した議論が入り不愉快を感じた方がおられるかもしれません。 お詫び申し上げます。
トレンドの読みを一つ間違えば今まで蓄積した土地等資産が価値のない物になってしまう可能性すらあります。 21世紀を見据えた大きなトレンドを考えるときの参考にしていただければ幸いです。

                      以上

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