ニュースレターバックナンバー

┏┏┏[2005-4-25]┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
 「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
 名古屋ビジネス情報  主宰 川津商事株式会社
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   テーマ: JR名古屋高島屋百貨店業績鈍化

開業4年足らずで累積損を解消した、絶好調、名古屋元気印の御旗 JR名古屋高島屋百貨店がついに前年同月比2%の経常利益減少 (売上は2%増)に転じた。市場は何を示唆しているのだろうか?

2000年春開業以来約5年間、名古屋の元気印の象徴であった高 島屋百貨店が、万博、中部新空港、栄の三越ラシックのオープンの さなかに経常利益減少を示した。単にイベントが重なり集客力が分 散したと考えるのか、高島屋の発表の通り広告経費がかさみ利益を 食ってしまったと考えるのか?名古屋駅前エリアの成長が何らか踊 り場状態になったのか?又ほかに原因があるのか?

今の時代、私企業が5年間も急成長をすれば、自ずと守りに入りリ スクを取らなくなってもおかしくは無い。しかし名古屋駅前エリア はこれから名鉄百貨店の伊勢丹との業務提携による大規模改修、豊 田毎日ビル再開発の完成、ルーセントタワーの完成など名古屋駅前 の成長は、まだ2年間以上にわたり市場のダイナミズムがつつく。

拡大、競争、活性化が効率よく、名古屋駅前エリアの市場の更に大 きな成長を支える原動力となるのか、乱開発により過当競争となり、 それがかえって非効率を生み市場の成長を損なってしまうのかと言 う問題に直面する。

市場原理は、努力が実った分利益を得ることができ、競争原理によ り効率よく収益を上げ市場全体の収益をキャッチアップさせるのが 利点である。反対に市場原理・競争原理がかえって邪魔をして市場 全体に収益もたらさなくなってしまうことを「市場の失敗」という。

名古屋駅前エリアは今どの様な状況にあるのだろうか?

名古屋駅前エリの都市構造は基本的には従来と何も変わっていない。 急に市場が拡大して人口動態が多くなっても、基本的な都市のイン フラは整備されていない。エリア戦略の一つの考え方として「回遊 性」と言う考え方があることを当ニュースレターにおいても何度も 取り上げてきた。

エリア内で居心地が悪かったり、来訪者のニーズを満足できない等 満足を完結できなければ、人は他の市場エリアに逃げていいてしま う。せっかくビジネスインフラの集積が高まりビジネスピープルが 増えても、新たなニーズ、例えば夜のエンターテイメントが無けれ ば、他のエリアでニーズを満足させてしまう。

せっかく新しい形態の専門学校が増えても、学生の存在が他のセク ター(例えばビジネス)の人たちと軋轢を生じ居心地が悪ければ、 放課後やはり他へ流出してしまう。立派な商業施設で買い物をして も、余韻を楽しむところがなければ直ぐに帰ってしまう。回遊性が 無いわけだ。

名古屋駅前エリアの最大の欠点は「無駄」なスペースが何も無いこ とである。学生がコンビにも前でたむろし、社会人が定食屋の前で 並び道路にまではみ出し、弁当を広げるところすらない。帰宅のO Lが立ち寄るところも無い。

高島屋のレストラン街で一番喧騒としているところは、スターバッ クスなどのテイクアウトがあるユーティリティースペースである。 要は拡大する市場に人が流入し続けているが、現実問題人がくつろ げる場所が無さ過ぎる。

行政サイドしても、名古屋駅前エリアに関しては自由になるスペー スが無く、お手上げナ状況にある。これに対して行政として新しく 建つビル、例えばミッドランドスクエアー、ルーセントタワー、或 いは三井不動産の再開発などのビル施設の計画・建設に公開スペー スを設けるように指導するのが精一杯である。

歩道上にオープンカフェを開くことすら出来ない環境或いは考え方 で、私企業の公開スペースがどれだけエリアのゆとりに貢献するか は疑問である。これは行政だけの問題ではなく、都心型の街づくり としてこのエリアに関与するすべての人が考えなくてはならない問 題点である。

市場原理は多様性を必要とする。特定の人たちだけのものであって は競争原理が働かない。学生、ビジネスピープル、主婦、フリー人 間、いろんな人が交流し、くつろげる為には、特定した人たちだけ に便益性がある施設はかえって規制となってしまう。

特定の目的の無いユーティリティー施設、これが栄エリアにあって 名古屋駅前エリアに無い最も重要なインフラである。しかしないも のは仕方が無い。愛知県の中小企業センターをつぶして一時的にも 広場にするか?立地的には非常に面白いが現実性が無い。

東京の新しいトレンドビル施設は、その多くで、一階(グランドフ ロワー)が吹き抜けになってオープンスペースになっている。名古 屋駅前の高島屋の13・14階レストラン街、或いはマリオットホ テルのロビーが、もし回遊性をもたらすオープンスペースの機能を 持っているとすれば、JR東海ツインタワーズの商業施設としての 回遊性の高さが理解できる。

ユーティリティースペースは何もグランドフローワーだけではない。 工夫次第でビルの基準階でも機能するはずである。ちなみにJR東 海のツインタワーズ、栄のナディアパークは何れも外国人によるデ ザイン設計である。

今後登場するミッドランドスクエアー、ルーセントタワー、三井不 動産等新しい大商業施設はすべて国内の同じ一社による設計である。 どの様なモデルが提案されるのか注目される。

高島屋の経常利益の減少は、市場からの何らかの情報発信であるは ずである。拡大にあわせて名古屋駅前エリアの独自の工夫を要求し ているのではないだろうか。ポスト万博にも影響を与えるポイント である。


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