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┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏[2003-10-15]┏┏┏┏
 「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
 名古屋ビジネス情報  主宰 川津商事株式会社
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   テーマ: 名古屋の2005年・2007年問題

東京での2003年問題がそろそろ落ち着いてきたようである。東 京では2007年にすでに大きなオーバービルディングが予想され ています。名古屋では2005年問題のオーバービルディングに大 きな関心が向けられています。

名古屋の2005年問題は現在の総オフィス面積の10%に相当す る新しいビルが2005年までに登場するものである。主な新築物 件は次の通りである。

名古屋東ビル     2005年 69,982平米
栄三丁目再開発ビル  2005年 76,466平米
栄パークサイドプレス 2004年 13,791平米
名古屋平和ビル    2004年  9,459平米
そして2007年には、トヨタ毎日ビル、牛島再開発が完成される。 この2物件は当初2007年秋完成の予定であったが、両方とも半 年前倒しになる予定である。そして2007年には三越の南館がオ ープンする。特に名古屋では商業スペースと、オフィススペースは 微妙に関連している。

ここである研究論文を紹介しよう。スペース増床効果に関する研究 である。

ある都心で建て増しが行われ床面積が増えると、これまでの雇用量 のもとでは労働の限界生産性が上昇する。したがってその地区の労 働需要は増大し、その地区を含む周辺全体の賃金を引き上げる。そ してその他の地区からの労働者の放出が始まり、その地区に対して 労働者の供給が行われる。これによって上昇した賃料が均衡に向か うという考え方である。

上記考え方は、論文、唐渡広志 八田達夫(2001)「オフィス業務の 付加価値生産指数」からの引用である。昨今の都市再生の容積率緩 和に関する効果を理論的に解明する研究として注目を浴びている。

わかりやすく言えば、都心で容積率に制限があるようなエリアで、 緊急都市再生法などの政策により、容積率の規制緩和がなされて、 オフィスビルが作られると、オフィスが余るのではなくむしろ労働 生産性の上昇によって、労働者の集約が起こりそのエリアの都市の 生産性があがるという考え方である。

この研究論文では、もちろん労働流入が起きない閉鎖的な都市、流 入が起きる都市などを区別して実際に東京で調査をして、その相関 性を仔細にモデル化した研究である。

もし、名古屋の駅前、栄地区が同じように容積率の規制緩和と生産 性の相関が認められるエリアであると前提すると、2005年、2 007年のオフィスビル大量供給により、名古屋全体の労働賃金が 上昇し、名古屋に労働者が流入し、新しい均衡状態になるまでそれ が続くということになる。

オフィススペースの増床は、関連ビジネスマンの増加を意味し、商 業スペースの増床はビジネス関係者、顧客の増加を意味する。ただ し流入する事が前提である。緊急都市再生法などの政策の理論的裏 づけとなる考え方である。

現実に東京の都心部において2003年問題に関連して、空室率を 見てみると、周辺の悪いエリアまで行かないところで、空室率の上 昇は鈍化して反転しそうなエリアもある。周辺都市との間において 裁定が起きている。空室率の均衡状態が微妙に変化していることが 伺われる。

さて名古屋の問題に戻って、名古屋でのオフィススペースの供給に 対して、社会インフラの整備など新しい労働者の流入を促進する政 策がスムーズに行われれば、名古屋の経済発展にとっては非常に効 果が期待されることである。

しかし問題は、どこから流入するかである。名古屋経済圏の周辺か らであることは間違いない。第2のビジネス版都心への回帰の始ま りである。最悪のシナリオを想像すると、ここで安易にどのエリア が落ち込むかを推定することははばかれる・・と考える。

1999年末から始まった、JR東海ツインタワーズに象徴される 名古屋駅前のビジネスエリアの地殻変動により、三重県の四日市市、 岐阜の経済規模が収縮した現象を十分説明できる考え方である。こ れが第1のビジネス版都心への回帰であった。

東京での増床は、他のエリアからの労働者の流入を促進することは 間違いない。しかもそれは名古屋からかもしれない。経済だけを考 えるならば、都市の再生を名古屋も真剣に考える必要がある。

以上



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