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===[2002-10-20]============
 「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
        名古屋ビジネス情報
       主宰 川津商事株式会社
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名古屋・不動産に関するビジネス情報誌「名古屋ビジネス情報」
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   テーマ: 名古屋のオフィスビル2007年問題て何?

名古屋駅前の豊田毎日ビル再開発、牛島再開発の完成年度の200 7年に名古屋のオーバービルディング(供給過剰)が生ずると言う ものである。

東京で2003年に大量供給されるオフィスビルの床面積が 2,270,000平米であると言われている。東京ではこのオー バービルディング状態を2003年問題と呼んでいる。

弊社の結論から言えば、名古屋駅前においては、これら問題とされ ているビルの完成が原因によるオーバービルディングは生じないと 考える。むしろ既存の古いビルの再活性化を怠ったことによる空室 率の上昇が起きるのではなかろうかと考える。オーバービルディン グを理由に、古いビルが企業努力をしない言い訳にしているのは、 セントラルタワーズの時と同じである。

まず東京の現状を分析しよう。2003年問題の象徴とされるのは、 築地の聖路加ガーデンなどに象徴される、前回のオーバービルディ ング時代である1994-5年に建てられた、ビルの入居率の低下で ある。

前回の供給過剰から10年たたずに、しかもこれだけの大きな供給 過剰が生じることは、まだ建築費などの残債が残っているビルにと っては経営の根幹を揺るがす問題である。これがもし不良債権にで もなればそこから派生する問題は市場全体に影響する問題になる。 これが2003年問題の本質である。

つまり今回の2003年に大量供給される事によって、競争力がな くなるのは30年、40年前の物件ではなく、同等のクラスの比較 して古い、高い、遠いなどのデメリットがある物件である。10年 の短いスパンでオーバービルディングが何度も生ずるのは確かに問 題である。逆に言えばそれだけ経済のダイナミズムがある証拠でも ある。

名古屋で2007年の供給過剰がもし起きるとすると、影響を受け たとしてそれが問題になるのは、20年30年前に建てられた丸の 内でもなければ広小路伏見でもない、しいて言えば前回の大量供給 で残債が残っているJR東海のセントラルタワーズである。

市場競争の中で、セントラルタワーズがみすみすテナントを引き抜 かれるような戦略性のない企業でもない。いまや名古屋駅前は、不 動産市場と言えども市場原理によって更なる活性化が期待されてい るのである。

2007年問題で伏見、丸の内エリアの入居率は確かに下がるだろ う。しかしそれは20年30年前に建ったビジネスモデルの器が、 市場原理の中で淘汰されることを意味している。これは市場競争に よりさらに地域を活性化させるチャンスであるはずである。

20年30年前に投資し本来なら償却しているはずだ。競争に打ち 勝つ投資をできないというのは、それは企業努力の欠如といわれて もしょうがない。

さて名古屋の現状に話を戻そう。現在名古屋駅前は、豊田毎日ビル が豊田通商等ごく一部を除いて事実上空っぽの状態になっている。 名古屋駅前中心地の巨大ビルが建て替えを前提の空室率100%に なっている。この数字を考慮せず現在空室率が7−8%と言われて いる。

まずトヨタ自動車が公表しているのは、今まで東京、豊田、栄にあ った本社機能を集積すると言っている。つまり名古屋駅周辺に既存 する企業の誘致ではない。その証拠に今まで豊田毎日ビルに入居し ていた飲食店は戻ってこられない。新規の飲食店が入居する予定で ある。

建て替えにより豊田毎日ビルを退去した企業は、現在周辺の大名古 屋ビル、三井ビル、堀内ビルに移転入居し、こられのビルは、30 年、40年前の古いビルにもかかわらず高い入居率を示している。 2007年には、現在こられのビルに移転していた企業は、牛島再 開発などのビルに叉移転することになろう。

すでに2007年三井不動産が三井ビルの建て替えを公表している。 すでに入居者を名古屋モード学園、HALLとしている。名古屋モ ード学園は現在手狭の中で新しいスペースを探していた。問題にな るのはHALLが入居している笹島の日本生命ビルである。しかし 日本生命もそれなりの戦略を考えている企業である。

2007年の牛島再開発の動向は明らかにされていないが、地権者 の多くは中部財界である。地元財界が一部入居をし、先ほどの三井 ビルの建て替えにともない、これらの企業が入居すれば、市場全体 において大きな影響はでない。

更に続いて名鉄グループの再開発なども水面下ではすでに動き始め ている。ナゴヤ駅前エリアがダイナミズムを持ち始めたのである。

更にトヨタなど高収益企業がこの地域に集積することにより、新た なビジネスチャンスが生まれるエリアとなり、全国から企業を誘致 する行政の後押しなどがあれば、更に新たな創造を期待できる。

さて問題を整理しよう。2007年にどのようなビジネススペース が供給され、そこにはどんな企業が入居の予定なのか?それによっ て受ける影響は誰が受けるのか?丸の内、伏見、栄の既存の中小テ ナントビルなのか?30年40年も前に建てられた大型のテナント ビルなのか?ニッチーなビルなのか?

実際に、「2007年問題が騒がれていて、名古屋での不動産投資は 今のところ考えられないから、当分見送る」と言った風潮がすでに 生じてしまっている。2007年に無差別に空室率が一気に上昇し て、市場があたかも打撃を受けるような解説をするマスコミ、不動 産調査会社は、あまりにも現場を知らなさ過ぎる。むしろ意図的な ものすら感じる。

JR東海のセントラルタワーが計画された時も、名古屋駅前のオフ ィス市場が大きな打撃を受け「大問題」になると言う論調をマスコ ミは一斉に取った。しかし現実は如何であったろうか?

地域の活性化が誘発されて、一気に周辺の古いビルの更新・リニュ ーアルが始まったら、いつの間にか「問題」ではなく「名古屋駅前 のセントラルタワーズ効果」と呼んでいる。2007年がなぜ問題 になるのであろうか?2007年にできるビルによって、周辺の三 井ビルが更新をする環境が整い、いずれ生損保その他不動産企業の 30−40年前のビルの更新されるきっかけとなろう。これのどこが 「問題」だろうか。

市場原理の導入とは、効率の悪くなった資産の償却を早め、経済の効 率を改善し強い経済体質を作るものである。もし問題があるとすれば、 建物の更新の力が無い企業の体質、これらの更新を後押しする社会基 盤整備を更新できない地域行政であろう。

この地方に100年に一度あるかないかの民間の巨大大型投資、コ アとなる駅前の再開発の機会を、大きなチャンスとして前向きに考 えず、変化についていけない発想は名古屋の悪いところかもしれな い。

東京の2003年問題は、オーバービルディングによる景気循環の 問題である。名古屋の2007年は、市場競争に退廃した30年4 0年も前のビルをリニューアルもしくは更新できない企業、地域の 問題である。

名古屋駅前の活性化は、JR東海、トヨタ、中部財界が新しいビジ ネスモデルを具現化するために作っている器によるものである。市 場原理の中で、伏見、丸の内、栄、更に千種、今池は市場競争に打 ち勝つ魅力を持つ努力が、今問われているのではなかろうか。

もし20−30年経ったビルが再投資されずに、市場から退場した まま放置されたらどうなるか?ホームレスの溜まり場、その他社会 悪の巣窟になったら、これから発生する外部不経済が市場全体に与 える影響は非常に大きい。

昔のニューヨークのスラム街がいい例である。 スラムになる前に市場から退避させるセーフティーネット、再生 するインセンティブたとえは都市再生法など行政が果たす役割が出 てくる。

以上



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