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===[2002-6-15]============
 「名古屋の不動産何でも相談室」がお送りする
        名古屋ビジネス情報
       主宰 川津商事株式会社
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名古屋・不動産に関するビジネス情報誌「名古屋ビジネス情報」
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  テーマ: 名古屋駅前の都市再生特別地区指定

名古屋駅前地域が都市再生特別地域の指定を受ける事が明らかにな った。この特別地区の指定を受けると、容積率の制限等が見直され たり、プロジェクトに対するファイナンス支援等が受けられたりし て、都市の再開発が促進される。

この政策は都市建設のグランドデザインからではなく、もともと景 気のデフレ対策の中で急遽浮上してきた政策である。今年の初め自 民党のデフレ対策案の中で以下の文言で発案されている。

都市再生本部における都市再生プロジェクト及び民間都市再生事業 の積極的推進

「 二十世紀の負の遺産を解消し、二十一世紀の新しい都市の創造 に向けた民間の取り組みを支援するため、都市再生特別措置法案の 成立を図り、同法に基づき既存の都市計画のすべてを適用除外とす る都市再生特別地区、民間の創意工夫が生かせる都市計画提案制度 及び民間プロジェクトに対する金融支援措置を早期に適用する。上 記プロジェクトの積極的な活用を地方自治体に要請する。」

あわせて東京都等から出されている東京のマンハッタン化構想がそ の背景にある。東京都では、東京都内で臨海副都心、大手町・丸の 内、大崎、渋谷駅前、霞ヶ関周辺、新橋駅周辺等がその指定を求め ている。現実に東京都では、光通信ケーブルの埋設に関する規制緩 和をする等、独自の高度集中型の都市建設の促進を進めている努力 がある。

景気対策の中から浮上した、都市計画であり、いつもながらの日本 的政策の典型である。また集中・高度化によって再生を進める東京 一局集中政策に乗っかって大阪、名古屋も便乗したところも極めて 日本的である。

いずれにしても、再開発のプロジェクトをいくつも抱える名古屋駅 前にとっては追い風となり、エリアの面での活性化が期待できる。 しかし同時に、益々再生し高度に集中化した高層ビルと、古い使い 勝手の悪い建物との格差を広げて競争を促進することになる。又そ れが活性化の原動力ともなろう。

名古屋市が申請した構想の様に、新しい高層ビル群が空中回廊等で コラボレーションされると言うことは、ポイントではなく、そのエ リアの面での開発が期待されるということになる。トヨタ毎日再開 発、名鉄ビル群、笹島の三井ビル群、中経ビル周辺を含めたエリア 群と、三菱地所、三菱倉庫、郵便局、牛島再開発で囲まれたエリア 群が描かれる。

あわせて名古屋市では吹上地区の再開発、名城公園東地区、伏見等 も指定が受けれるように働きかけが起きている。吹上は当ニュース レターでも何度も取り上げているサッポロビール名古屋工場跡地で、 名古屋市内の地理的中心地にあり、名古屋都市高速、国鉄等のアク セスしだいではマルチエリア開発が可能である。

名古屋城東地区は最近になって活字として登場してきたが、以前よ りそのエリアの潜在能力が注目されていたエリアである。現在、公 務員のための古い、低層住宅となっているが、建物の老朽化が進み 建て替えの時期になっている。栄に隣接して環境が良く、守山・瀬 戸から通っている民間サラリーマンが、永年横目で見ながらあこが れてきたエリアである。

古くてもいいですからあのエリアの団地に入居出来ませんか、と言 う問い合わせが時々舞い込んでくるエリアでもある。高層マンショ ンにより従来の公務員だけの独占的特区ではなく、いろんな人たち が交流を可能としたエリアになればいろんな可能性のあるエリアで ある。特定の人たちだけのエリアでは、そのエリアが閉鎖的になて しまう事は東京の丸の内、大手町等の事例で実証済みである。

伏見は広小路通りを中心に、従来のゼネコン、銀行、証券等一般事 業所のビジネス街であった。各業界の再編で新しいビルの建設もま まならず、話題に乏しいエリアである。新規需要がなく新しいビジ ネスの将来像が見えない中で、再生特区になったとしてもどれだけ 成長が可能かはまだ議論を要するだろう。

再生と言っても、決して従来型商店の復活を期待しているわけでは ない。革新された新規ビジネスによる、新しい世代の新しい需要の 創造に対応した、高度集中型の都市建設が期待されている。もちろ ん都心に高層マンションを作るのも、その延長線上にある都市像と 言える。

現在非常に注目を浴びている「中心市街地の活性化」の考え方にも、 いろんな考え方が出てきている。従来、中心地の活性化・再生の対 象は、中心地イコール「商業」の再生であった。これに対して、高 齢化、少子化の社会問題が現実になり始めて、高齢者が快適に生活 できるような中心地に再生してもいいじゃないかと言う考え方であ る。

反対に、無理に商店街を再生するのではなく、中心地街に人が集ま る「快適な社会」を作ると言う考え方もその延長線上にある。高齢 化、少子化社会が求める中心地のコンセプトは必ずしも商業再生と は限らない例えば「森」であってもいいじゃないか。しかし後者の 考え方は今回の冒頭のデフレ対策からは逸脱してしまっているのか もしれない。

名古屋でも、都心で都市計画の再構築を目指して、吹上、伏見、そ の他にも多くのエリアを考えるとき、東京の都心部ように都市の再 生イコール東京型経済の再生とは違うはずである。

東京と名古屋の大きな違いは、都市を再生する投資資金をどのよう に集めるかと言うことである。名古屋駅前で大きな再開発事業を推 進しているのは、JR東海、トヨタ、中部財界の牛島開発等である。 地方自治ですら財政難から都市再開発に投資が出来ない状況にある。

都市建設に必要な投資資金を他のエリア、国から集められる力は東 京とは比較できない。海外の資金をはじめ、名古屋の周辺都市から の投資等を呼び込むための投資市場としての環境を整備する必要が ある。

投資家が魅力を感じる都市づくり、社会基盤整備資本等への旺盛な 投資、将来成長の可能性のある知識の集積、名古屋に関する情報の 発信、何と言ってもインデックス等不動産投資収益に関する情報の 公開等が必要とされる。

以上



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