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===[2002-連休特集]============
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  テーマ: 減損会計と不動産価値評価の基礎的考え方

連休中ゴルフをエンジョイされる方もおられますでしょう。今回は 企業会計の基礎をご紹介します。ゴルフ場の将来を考えながらゴル フを楽しみ、日ごろのお疲れを癒してください。

ゴルフ場を建設したとします。建設費はいくらかかるでしょうか。 土地取得費、造成費、クラブハウス建設費・・・等等を積算すると 100億円になるとします。完成すればこのゴルフ場の帳簿価格は 100億円になります。

このゴルフ場を営業する事によって、年1億円のキャッシュフロー (減価償却費5千万円、税引き後利益5千万円)を得たとします。 この投資期待収益を仮に10%とし、1億円を10%で割り引いて収益 価格を求めると1億円÷10%=10億円になります。

このゴルフ場の収益還元法による時価は10億円になります。仮の このゴルフ場を作るに当たって、40億円を株式で出資を求めて自 己資金とします。残りの60億円を銀行から借り入れを起こします。

時価会計を導入する事によって、このゴルフ場の帳簿価格を100 億円から10億円にして評価損を出します。しかし銀行からの借入 債務60億円は残ったままです。この結果バランスシート上債務超 過になります。 

債務超過に陥った融資先は、不良債権分類上 要注意先又は破綻先 の分類に指定されます。銀行は、要注意先の企業に対して貸し倒れ 引当金を準備しなくてはなりません。余分なコストがかかり融資を 引き上げにかかります。破綻先になると銀行はその債権を不良債権 としてオフバランスしなくてはなりません。

オフバランスとは、銀行がその不良債権を海外ファンド、RCC等 に売却しなくてはならないことです。つまりゴルフ場は完全に破綻 し、新しい外資の買い手などに移り、それまでの会員権などの権利 は紙切れになります。

昨年暮れから、破綻している企業の多くが、従来型資金ショートよ りも、時価評価替えによる債務超過に陥り、銀行から融資をストッ プされる事が事実上明らかになり、破綻する直前に民事再生法を申 請するパターンです。

名古屋の最近民事再生法を申請した住宅会社等、まさにその典型と 言われる。

新聞等で盛んに減損会計導入の期日が2005年度になった事が報 道されている。減損会計とは、企業が持っている土地など固定資産 の評価が大幅に下がった時、その評価損を計上しなくてはならない 企業会計上の決まりである。

減損会計を導入する意図は、日本の経済において、収益性の低い事 業を淘汰させ、収益性の良い事業に集約させる過激な外科手術であ る。悪い企業は強制的市場原理の導入によって切り捨ててしまう考 えである。

さてゴルフ場のケースに戻りましょう。ゴルフ場の資産評価は積算 価格で100億円と収益価格で10億円となりましたが、どちらが 正しいのでしょうか。どちらも資産評価であることには変わりあり ません。

この考え方によれば、ゴルフ場は収益性が回復するまで建設する事 が出来ません。ゴルフ場は環境に悪いから当然だと言う方もいるか もしれません。ではこればゴルフ場ではなく、リゾートホテルでは? しかも老人がゆったりくつろげる福祉型の滞在型のホテルだとした ら如何ですか?病院は?あれは?これは????

収益性だけで、その存在意義は関係なく淘汰させるのが市場原理の 導入です。存在意義はキャッシュには現れません。採算を度外視し ても必要なものと言うのが世の中にはあります。あるいは今は収益 が悪いが、近い将来必ず大きな収益を生むと言う事業があります。

現在のキャッシュフローにこれらの成長可能性、社会的必要性を価 値として付加する事によって、本当の価値を導き出す。この手法が リアルオプションと言われるものである。リアルオプションは不確 実性のマネージメントで、これらに投資される資金はリスクマネー と呼ばれます。

上記ゴルフ場の例では株式出資資金が、銀行からの間接金融資金で はなく、100%であれば、債務超過といわれることは起きません。 リスクを出資者が引き受けるからです。これがリスクマネーと呼ば れるものです。しかし上場企業に対するエクイティーファイナンス 以外にリスクマネー市場は、銀行優先の日本には根付いていません。

よく経済評論家がテレビで銀行はもっと将来性ある企業、案件に果 敢に融資すべきだと言っています。これは完全に間違いで、金融シ ステムを理解していない。基本的には金融仲介システムを業務とす る銀行は、リスクをとれないノンリスクマネーの融資セクターです。

リスクマネーは株式市場等の直接金融と呼ばれるものである。 銀行へ預金する人は預金が元本保証される前提で預金をします。 このリスクをとらない約束の資金を、銀行がリスクのある投資先に融資をしたらどうなるでしょうか? そこのにリスクヘッジと呼ばれる金融技術がなければ破綻をしてしまう可能性があります。

実際多くの銀行が不良債権を発生して、いくつもの銀行が破綻をしています。

日本のように護送船団方式の銀行では金融技術は育っていません。 本来間接金融と呼ばれる日本の市中銀行はリスクが取れないのです。 リスクが取れる金融システムをつくらなければ、今後もリスク事業への資金提供はありえません。 リスクをとる投資家そして投資家を 支える市場の整備が育っていないのが現状です。

リスクマネーとノンリスクマネーの違いもわからずに、銀行を一方 的に非難しているエコノミストがテレビに出ている現状こそ、日本 経済の大きな病巣なのかもしれない。

2005年に減損会計の導入が決定しました。収益性の良い企業に 集約することで強い日本経済を蘇らす事は非常に重要な事である。 しかしその一方でキャッシュフローで評価できない価値をどのよう に評価して、投資を募り社会資本として整備を促進するかが重要に なる。

ナイスショット!でありますように。

以上



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